-
-
電源選びのコツ― ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン ―
  1.ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン
  2.ATX12VパワーサプライデザインガイドラインVer1.2→Ver1.3
  3.ATX12VパワーサプライデザインガイドラインVer1.3→Ver2.0
  1. ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン 2006.04.01
 

ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン(ATX12V PowerSupplyDesignGuide)は Intelを筆頭として作られた団体である DesktopFormFactors(http://www.formfactors.org/)によって定められており、 ATX12V電源を作る上での指標となっております。 Intel等では、この規格に沿っていない電源の動作は保証しておりません。

 
  2. ATX12VパワーサプライデザインガイドラインVer1.2→Ver1.3 2003.10.01
 
  • +12Vの強化
    Ver1.2では、300W電源の場合+12Vが15Aだったのに対して、Ver1.3では18Aに引き上げられています。
    これは当然ながら、今後のPentium4への対応の為の+12Vの強化です。
    またピーク値も定義されており、19.5Aとなっています。
    ピーク値も定義する事でよりシビアな要求になっています。
    逆に+3.3Vは28A→27A、+5Vは30A→26Aと引き下げられています。
    これは総容量と各電圧帯のバランス上、下げる結果となりました。
  • +5VSBの強化
    Ver1.2までは1.0A(ピーク1.5A)が必須であり、推奨として2.0A(ピーク2.5A)が定義されていたが、Ver1.3では2.0A(ピーク2.5A)が必須となっています。
    これは待機機能が使えるパーツが増えてきており、それらの要求を満たすには1.0Aでは動作しない事が 予測されるからです。
    更に、Ver1.2までは+5VSBの変換効率が
    500mA時:50% Efficiency
    だったものが
    100mA時:50% Efficiency
    に変更されています。
    これにより待機時でも省エネ化がはかれるようにしようという事です。
  • 変換効率の定義の修正
    Ver1.2では変換効率(PowerEfficiency)はフルロード時に68%と定義されていました。
    しかしVer1.3では、以下のように定義が細分化されました。
    20%ロード時:50% Efficiency
    50%ロード時:60% Efficiency
    フルロード時:70% Efficiency
    電源の総容量に対するロードの割合が低い場合に変換効率を高くするのは非常に難しく、 高い技術が必要です。
    今まではフルロード時だけの定義の為、例えば20%ロード時には変換効率は 意識されておりませんでした。
    各変換効率を設定し、更に今までよりも高効率の仕様になっている為、省エネにつながります。
  • シリアルATAコネクタの追加
    Ver1.3で初めて、電源へのシリアルATAコネクタの実装がアナウンスされました。
    しかも、+3.3Vラインも必須となっております。
    現在発売されているシリアルATA機器はHDDのみで、しかも本来のシリアルATAの仕様とは 若干異なります。
    現状では、シリアルATAも従来のパラレルATAと同様に+5Vと+12Vを使用しています。
    しかし、+3.3Vと+5Vを使用するのが本来のシリアルATAの仕様なのです。
    データ転送速度の向上と共に省エネ化するというのもシリアルATAの狙いなので (低電圧設計にする事で省電力化がはかれる)、現状ではシリアルATAのメリットが 半分になってしまっています。
    しかし、Ver1.3で電源へのシリアルATAコネクタの実装が正式にアナウンスされたので、 本来の+3.3Vと+5Vを使用したシリアルATAドライブが発売されるのも、そう遠くないかもしれません。
    ※なおVer1.3での定義では、現行・将来の両方に対応する為に、+3.3V・+5V・+12Vの3ラインが 必須になります。
  • 静音化への意識
    今まで電源のデザインガイドラインでは、静音性に関する定義はまったくありませんでした。
    これは、電源として重要なのは電気を各パーツに効率よく安定して送る事であり、静音性などはユーザーが意識する事なので、実際に販売する側が企業努力として静音化している事がほとんどでした。
    しかし、Ver1.3ではこの静音性に関する定義が追加されました。
    50%ロード時:4.0BA
    この「BA」という単位についてですが、音の大きさの単位では「dB」というのが馴染み深いと 思います。
    実はこの「dB」の測定方法が各メーカーにより、まちまちなのです。
    A社はファンから50cm離れて測定、B社は100cm離れて測定。これではB社の方が静かなのは 当たり前です。
    しかもどの角度から測定器をあてたかによっても、騒音レベルは変わってきます。
    そこでIntelは独自に、測定対象を取り囲むようにマイクを設置し、複数箇所から音を計測する方法を定義しました。
    これで測定されたものが「BA」で表されます。
    ※4.0BAが何dB相当になるのかは不明です。
 
  3. ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン-Ver1.3→2.0の違い 2004.10.08
 

ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン-Ver1.3→2.0の違い

  • +12Vの供給能力の強化
    消費電力の増加している中、特に+12Vに集中しがちなので+12Vの供給 能力が増加されています。
    最低でも18Aと定められました。
  • 最大負荷時の変換効率(Efficiency)を70%以上、低負荷時には60%以上と定義しなおされています。
    これにより、より省エネ化が進められますが、電源メーカーにとってはかなり高いハードルになっています。
  • メインコネクタを24pin化
    誤解されがちですが、24pin化はLGA775の為ではなくPCI Expressの為に採用されたものです。
    追加されるピンは、+3.3V,+5V,+12V,COM(グラウンド)でピン配列はEPS12Vのメインコネクタと同じになります。
    また、この追加されたピンにより、新たに75Wを供給できるように設計されています。
    更に、24pin化に伴い今までオプション扱いで書かれていたAUXコネクタの説明がなくなっています。
  • +12VのV1/V2の採用
    CPUの消費電力の増加に加え、他のパーツの消費電力の増加も著しくなってきており(特にVGA)、+12V系統に出力が集中している事への解決策とした+12Vが2系統に分けられました。
    これにより、CPU/その他の機器への電力供給が分断化され、お互いの負荷による電圧の不安定化や電流集中による様々な問題を解決できます。
    ここで注意しなければならないのが、EPS12Vパワーサプライデザインガイドでも+12Vが2系統になったものもありますが、以下のように両者では仕様に違いがあります。
    <EPS12Vパワーサプライデザインガイド規格の電源の場合>
    CPU:+12V1
    その他:+12V2
    <ATX12Vパワーサプライデザインガイドライン-Ver2.0規格の電源の場合>
    CPU:+12V2
    その他:+12V1
    使用する際に特に注意しなければならない事はありませんが、この違いを覚えておくといいかもしれません。
    ※弊社で発売している「TAO-500P5V」「TAO-550P5V」(Topower製)は、+12Vを2系統/1系統に切り替えできます。
 
-